【ホテル】東急グループ・ホテル伊豆急 サウナ導入プロジェクトの裏側 担当者様インタビュー
この記事では、実際にtotonoüのサウナを導入いただいたお客様の「サウナと共にある暮らし」をお伝えしています。
今回は、静岡県下田市に5月24日(金)にオープンしたホテル伊豆急のアウトドアサウナ『SIMODACCI SAUNA』の導入に携わった、株式会社伊豆急コミュニティーの山口慎吾さま(経営管理室 企画担当 課長補佐)、株式会社東急エージェンシーの長谷川光さま(共創ビジネスプロデュース局 第2プロデュース部 部長)、株式会社Huber.の紀陸武史さま(代表取締役CEO)、山下貴史さま(アウトドアサウナ事業部 マネージャー)にお話しいただきました。
インタビューはtotonoüの共同創業者・木村新が担当し、今回のプロジェクトにかける皆様の思いをじっくりと伺いました。
*本インタビューは施設オープン前の5月16日に実施されました。 |

サウナで”下田と友達”に!?『SIMODACCI SAUNA』とは
Q:本日はよろしくお願いします!
はじめに、『SIMODACCI SAUNA』プロジェクトにおける皆様の役割を教えてください。
Huber. 山下さま:
今回の『SIMODACCI SAUNA』プロジェクト(以下「本プロジェクト」)は、観光庁からの補助金を活用し、静岡県・下田エリアのひとつの目玉コンテンツとして、ホテル伊豆急のプールサイドにバレルサウナを設置することで、誘客やお客様の若者化をはかっていこうという狙いで発足した取り組みです。
本プロジェクトの推進においては、まず、ホテル伊豆急の運営をされている伊豆急コミュニティーの山口さんに表に立っていただきました。また、山口さんには、オープンに向けたPR等についても、現場の方々と一緒に準備を進めていただいております。
次に、東急エージェンシーの長谷川さんには、本プロジェクトのブランディング、コンセプトの造成、グッズの造成やアロマの開発などをご担当いただきました。加えて、本プロジェクト全体の推進や、PRの面でも現在進行形でご協力いただいているところです。
弊社Huber.は、totonoüさんのパートナー企業としてホテル伊豆急へのバレルサウナの導入を支援したほか、スタッフの皆様への研修、備品の納品等を主に担当しました。また、これからまさに本格オープンしていくにあたって、PR面でも一緒にできることはないか、皆様と連携しながら進めております。
Q:山下さん、ありがとうございます。
本プロジェクトはどのような経緯で始まったのですか?

東急エージェンシー 長谷川さま:
私は東急エージェンシーの共創ビジネスプロデュース局という部署におりまして、東急グループが一般企業や自治体などと連携して新しい価値を共創していく、というプロジェクトを仕掛ける立場にあります。下田や伊豆の活性化についても、震災の後からずっと伊豆急行さんとタッグを組んで様々なプロジェクトに取り組んできたという縁があり、その流れの中で本プロジェクトの提案をさせていただきました。
ちなみに、私自身も根っからのサウナーです!

伊豆急コミュニティー 山口さま:
伊豆急コミュニティーでは、ホテル伊豆急などの宿泊施設の運営、不動産販売や賃貸などの不動産事業、温泉事業、保養所の運営など、様々な事業を展開しています。
私が所属している経営管理室は、成長戦略の具現化をする部署です。コロナ禍を踏まえ、今後宿泊施設をどのようにしていくべきかという検討を進めているなかで、ちょうどその流れにうまくマッチする形で、東急エージェンシーさん、Huber.さんに本プロジェクトのご提案をいただいたんです。
長谷川さんからも話がありましたが、私自身も伊豆急行から東急に3年ほど出向していたことがあり、その際に長谷川さんと一緒に伊豆の活性化に取り組んでいたという経緯がありました。そうした縁もつながって、本プロジェクトが形になったのかなと思っています。
Q:『SIMODACCI SAUNA』というのはとても印象的な名称ですよね。
本プロジェクトのコンセプトや、『SIMODACCI』というキーワードについて教えてください。
東急エージェンシー 長谷川さま:
下田にサウナを、という話がスタートしたきっかけのひとつに、先ほどもお伝えした通り、私が一時期下田の活性化に携わっていたということがあります。
ご存知の通り、下田は海がとても綺麗な場所でビーチも10箇所ほどあります。綺麗なビーチがこれほどの数揃っている場所はなかなかありません。
ただ、それらの価値を夏以外に活かしきれていないという課題がありました。綺麗な海の景色があっても、10分ほど滞在して写真を撮って。そうするとあとはやることがなくなってしまって、じゃあもう行くか、となってしまうという非常にもったいない状態だったんです。
そこで考えたのが、アウトドアサウナの導入です。アウトドアサウナを利用していただくことで、長くその場にいることで潮風や海の空気を感じられるとか、波の音をゆっくり聞けるとか、そういった海景色だけではないプラスアルファの、”その場にいる気持ちよさ”というものを味わえるのではないかと思ったんです。それが本プロジェクトの始まりでした。
次にこの『SIMODACCI SAUNA』という名称についてですが、本プロジェクトのコンセプトとして「下田のことをもっと好きになってもらいたい」というのがあります。
下田には夏しか行かないよ、という状態だった人が、しょっちゅう通ってくれるようになる。またあそこに行ってのんびりしたいとか、あの場所から海を見たいと思ってもらえる。そういった場所を目指したいと思っていて、そのような思いを抱く状態というのは、つまり”友達感覚になる”ということだよな、と思ったんです。
アウトドアサウナのオーソドックスなネーミングとしては、『白浜サウナ』とか、『ホテル伊豆急サウナ』とか、あとは海や風といった言葉を盛り込む選択肢もあったと思います。
ただ、先ほどお話しした通り、”友達感覚”で通ってもらうきっかけになるようなコンテンツとしてアウトドアサウナをつくる、というのが根底にあったので、なかなか珍しい名前だとは思いますが、『下田の友達』『下田のうち』『下田の友達んち』といったものをもじって『SIMODACCI SAUNA』という名称にしました。
また、ロゴのデザインに関しては、今回totonoüさんの北欧産サウナを導入することになったので、Huber.さんとも相談して、北欧デザインを意識したロゴにしています。

伊豆急コミュニティー 山口さま:
長谷川さんがおっしゃった”下田と友達になるサウナ”というコンセプトについて、最初は『SIMODACCI SAUNA』という名前の響きにびっくりしたんですが、考えてみるとコンセプトも含めてすごくいいものだなと感じました。
伊豆急コミュニティーは伊豆急行という鉄道会社を中核としたグループ会社なのですが、ちょうど伊豆急グループにおいて、伊豆半島を活性化していくために来島動機や滞在動機、居住動機を高めていきたい、伊豆のファンを作りたい、という議論をしているときに本プロジェクトの話があったんです。僕たちのビジョンとも非常に合っているコンセプト、名前だということで、本プロジェクトが進められることになったという経緯があります。
景色と調和する北欧産バレルサウナ 通年の『リトリート体験』を可能に
Q:サウナにも様々なタイプのものがありますが、今回はなぜバレルサウナを導入することになったのでしょうか?
また、totonoüの製品を採用いただいた理由も教えていただけると嬉しいです!
伊豆急コミュニティー 山口さま:
本プロジェクトのサウナの選定に関して、伊豆急コミュニティーとしてはまずアウトドアサウナの勉強からスタートした状態でした。Huber.さんが他の場所で運営しているテントサウナなども見させていただいたのですが、テントサウナは常設しておくのが難しいので、年間を通して置くためにはどんなタイプのサウナがいいのかといったところや、火事のリスクがないように電気ストーブを使用できるものにしたいという条件などをHuber.さんに相談させていただきました。
また、伊豆急コミュニティーとしては『リトリート体験』をこのエリアで提供できる施設にしたいという希望があったため、海の目の前という潮風や砂がある環境のなかでリトリート体験を実現するにはどうすればいいのか、といった点も相談を重ねまして、Huber.さんから最終的に提案していただいたのが今回のtotonoüさんのバレルサウナでした。

Huber. 紀陸さま:
山口さんの話にもあった通り、我々は河津地域の今井浜という場所でテントサウナのサービスを展開していました。テントサウナを運営する際に何に苦労するかというと、とにかく風です。この地域では夏が過ぎたあと、冬にかけて強風が吹くんです。
テントサウナの場合には、強い風が起こるとそのたびに畳まなければなりませんし、仮にチェックが漏れてしまったら、テントサウナが飛んでしまうということも起こり得ます。ですので、沿岸部で運営する場合にはテントサウナの常設は難しいだろうという考えがありました。
今回、本プロジェクトでサウナを設置したロケーションが本当に良くて。海が目の前に広がっている素晴らしい景色なんですが、ただやはり、海が見えるということは風が来るということなので、どうしてもその条件がセットになってしまうんですよね。
こうして設置場所の景色や周辺環境などを含めて検討を進めた結果、最終的にtotonoüさんのバレルサウナを導入することになりました。
totonoüさんのサウナは北欧産の木材を使用しているので、そういった良質なイメージと設置場所から見える自然の雰囲気がマッチしていると思いますし、高級感のある『リトリート体験』をお客様にしていただきたいというホテルの思いに対して一番フィットしたのが、totonoüさんのバレルサウナだったんです。
東急エージェンシー 長谷川さま:
totonoüさんのサウナを選定した理由について、私からも少しだけ補足させてください。
ホテル伊豆急では、山口さんもおっしゃっていたように『最高のリトリート体験を提供する』というコンセプトでホテル全体を手入れしているところです。
totonoüさんのバレルサウナは北欧のエストニア産で、非常に良い意味で北欧文化の素朴さと高級感を併せ持っていると思うので、このコンセプトにも合いますし、ホテル伊豆急から見える景色とすごく相性がいいのではないかと判断しました。
建築基準法や公衆浴場法 行政との協議も連携して対応
Q:そう言っていただけて嬉しいです!
オープンをむかえてからもプロジェクトは続いていくと思いますが、一旦サウナの導入が完了した現時点の感想を聞かせてください。大変だった点などはありましたか?
Huber. 山下さま:
最初に現場に足を運んだ際、下田の白浜のビーチが広がる景色を見て「こんなところでサウナができたら、なんていいんだろう!」と、私自身も思わずはしゃいでしまうほど盛り上がったんです。
当初は別の場所へのサウナの設置を想定されていたとうかがっていますが、「この場所でサウナができたら、僕らが日頃向き合っているサウナーのお客様にも喜んでいただける場所になるんじゃないかな」という気持ちは、最初から今まで変わらず持ち続けています。
とにかくわくわくする取り組みで、本当にこれからが楽しみなサウナ施設になると思いながら本プロジェクトを進めていました。
大変だった点ですが、Huber.としてはバレルサウナを導入するというのは今回が初めての取り組みだったので、漠然とした不安がありました。当初は他の会社のバレルサウナを検討していたものの、色々と調べていく中でtotonoüさんのサウナに変更したという経緯もありますし、法律面についても探り探りで対応していった形です。
totonoüさんとはこれまでも日頃からやりとりをさせていただいていたので、本プロジェクトにおいても、わからないことがあった際にはtotonoüさんと都度やりとりをすることでクリーンになって、解決できたと感じています。
伊豆急コミュニティーさんや東急エージェンシーさんをはじめ、各所にご迷惑をおかけしたところもあったと思いますが、本プロジェクトの推進を通して非常に知見が深まったと思います。
Huber. 紀陸さま:
大変だった点について、僕からも補足させてください。
山下も触れていましたが、公衆浴場法と建築基準法などの法律に関して地域ごとに方針や指針が異なる部分があり、かなり調整が難しかった場面がありました。バレルサウナの導入が初めてだったということもあって、この点は特にアウトドアサウナを売っていくことの難しさを感じましたね。
もう一点、本プロジェクトは、元々ホテル伊豆急の改修計画という大きな流れがある中で、それと並行する形でアウトドアサウナの導入という流れがあって進められてきたものです。ホテルの一部だけが改修されてサウナができる、というケースならシンプルなんですが、そうではなかったので。改修計画という大きな流れと足並みをそろえながら進めていくのは大変でしたが、学びも多かったです。
Q:山口さんは、ホテル側として本プロジェクトに取り組んでみていかがでしたか?
伊豆急コミュニティー 山口さま:
本プロジェクトに一旦の区切りがついた現時点の感想としては、本当に素晴らしい施設ができたなと感じています。
先日、ホテル伊豆急のスタッフや伊豆急コミュニティーの会社のメンバーでサウナの体験会や運用の確認をしたんです。初めてサウナに入るという人もいたんですが、『ととのいテラス』という外気浴テラスにあるインフィニティチェアに座ると海と空しか見えないような状態になるので、「本当にこれ、いいよね」とみんなが言ってくれました。
今後はこの施設をどうやって運用していくか、販売していくかをしっかり考えなくちゃいけないなと思っています。

他方で、大変だったのはやはり関係各所との調整です。白浜という地域は国立公園の第2種特別地域に含まれているため、規制がかなり厳しく、建てるものに関しては形やサイズだけでなく素材や色味に至るまで、すべてにチェックが入ります。このあたりの調整には苦労しました。
また、さきほど紀陸さんも触れていましたが、バレルサウナの導入にあたっては建築基準法など様々な法律が関係してくるため、その点の調整も必要でしたし、本プロジェクトには補助金を使っているため「いつまでに完成させて報告書を出さないといけない」といったスケジュールがタイトに決まっていたので、その調整もかなり大変でしたね。
Q:サウナ導入の過程で大変だった点をそれぞれお話しいただきましたが、そのような大変さを各社がどのように連携して乗り越えていったのでしょうか?
伊豆急コミュニティー 山口さま:
本プロジェクトでは、私たちは宿泊事業者として工事の準備をしっかりと進めていたものの、ブランディングやサウナに関する知見が不足していたため、ブランディングについては東急エージェンシーさんに全面的に協力していただきました。他にも、東急エージェンシーさんには補助金に関する事務局との調整についても担当していただいたので、非常に助かりました。
また、サウナの知見については、ホテル伊豆急の近くの今井浜という場所でHuber.さんがアウトドアサウナをやっているので、ホテル伊豆急のスタッフや伊豆急コミュニティーのメンバーでそのサウナを体験させてもらったり、アウトドアサウナの運用のアドバイスをいただいたりと、Huber.さんにしっかりとサポートしていただきました。
このように、各社の強みや役割がしっかりと整理できていたので、大変な状況の中でもなんとか形にできたように感じています。
今後は、この施設をどのように売り出していくかというところについて、またHuber.さんや東急エージェンシーさんと協力して考えないといけないなと思っています。

Huber. 紀陸さま:
先ほど法律面に関して調整が大変だったという話をしましたが、この点に関してはtotonoüさんと話をすることで全国的な動きはどうなっているのかという確認をしながら、行政や建築事務所等との調整をすることで進めていきました。
本プロジェクトに関わった事業者の共通認識として、しっかりと適法であると胸を張れる状態でいるべきだという気持ちがあったので、追加で対応が必要な部分についてどのように資金を工面するのか含めて、それぞれができること、解決策を探っていった形です。
もう一点、山口さんも少し触れられていましたが、本プロジェクトは補助金を活用したもので、これに関しての行政とのやりとりは東急エージェンシーさんに全面的に担っていただきました。
僕も観光庁の補助金に関する案件についてはこれまでも何度か対応してきましたが、今回はいつも以上に難しい場面が多かったように思います。そんななか、どこまでできるのか、どこまで認めてもらえるのかというのを東急エージェンシーさんがひとつひとつ手探りで確認してくださったんです。
長谷川さん、そのあたりはいかがでしたか?
東急エージェンシー 長谷川さま:
僕自身は、補助金を活用するプロジェクトの対応にしっかりと取り組んだのは今回が初めてでした。
計画に対して細かい相見積もりを取る必要があったり、何かを変更しようとすると確認が必要な点がたくさん出てきたり、ここまで厳しく言われるのかというのが正直な感想ではありました。ただ、初めての対応でここまでハードルが高いものをやれたというのは、良い経験になったのかもしれません。
Q:totonoüのパートナーであるHuber.さんや、totonoüと仕事をしてみていかがでしたか?
伊豆急コミュニティー 山口さま:
サウナの施工は本当に段取りよく、短い期限でも決められた時間の中でしっかりと進めていただきました。改めてできあがったものを見て、ホテルの雰囲気にも非常に合っているので、本当に良かったなと感じています。ホテルのスタッフからも「バレルサウナの雰囲気がすごく良い」という声が上がっていました。
調べたところ、totonoüさんのバレルサウナは国内でナンバーワンの実績があるということだったので、Huber.さんにtotonoüさんをご紹介いただき、信用できるところとお取引ができてありがたかったです。
加えて、これは下田エリアの特色なんですが、下田にはヨーロッパからのお客様がかなり多く来ているんです。特に、吉佐美という海岸のほうのエリアには、中長期で滞在されるヨーロッパからのお客様がかなり多くいらっしゃいます。
そういった事情を考えると、下田の雰囲気とヨーロッパや北欧の雰囲気というのは相性がいいのではないかと思っていて、その点でもtotonoüさんと仕事をさせていただけて良かったです。
Huber.さんに関しては、近隣でアウトドアサウナをやっておられるので、あまりサウナに入ったことがないというホテルのスタッフにもそこで体験してもらって「アウトドアサウナってこんなに気持ちいいんだ」ということを実感させてもらったり、サービスの運用についても相談に乗っていただいたりと、様々な面でご協力いただきました。

東急エージェンシー 長谷川さま:
今回、Huber.さんにお声がけした最大の理由は、Huber.の皆さんがとにかくサウナ好きだというところにありました。
昨今の日本では、本場・北欧のサウナ文化が日本特有のものへとどんどんカスタマイズされていて、より良いサウナのサービスの方向をみんなが模索している状況です。群雄割拠の状態で、皆さん様々なサービスにトライされていますが、時々「ちょっとこのトライはどうだろう」というものもあるように思います。
そんななか、Huber.さんは今井浜東急ホテルでアウトドアサウナを運営されていたので、たとえば砂が水風呂に入ってきちゃうとか、そういったことも含めて実際に経験されています。その経験を踏まえて、ホテル伊豆急にアウトドアサウナを導入する場合、その環境のなかで何が一番ベストなのか、設置場所や使用する設備、totonoüさんというブランドに関してもそうですし、Huber.さん自身が無類のサウナ好きだからこそ提供できる「これがいいんじゃないか」という言葉については、誰も正解がわからない中で一番信用できるのではないかと考えました。
最終的なサウナの設置場所についても、Huber.さんと一緒に検討して決定しました。海が見えるあの場所にちゃんとサウナを設置できたというのが、本プロジェクトの最も重要なポイントだと思っています。ホテル伊豆急側は当初、「ここに設置するんですか」と驚かれていたんですが、最終的にはすごく良かったと言っていただけました。
サウナで高付加価値化 夏以外も若者やインバウンド層獲得へ
Q:アウトドアサウナの導入によって、今後どのような効果を期待されていますか?
伊豆急コミュニティー 山口さま:
今回アウトドアサウナの導入に至ったのは、コロナ禍を経て、旅行スタイルや価値観が非常に大きく変化しているということが背景にあります。こうした社会情勢の変化を踏まえ、伊豆急グループ、ホテル伊豆急としても新しいサービスや価値を提供しなければならないのでは、と考えていました。
夏に関しては、現在もお客様に対して旅の過ごし方を提案できているのですが、夏以外の季節の過ごし方を提案できるコンテンツをつくりたいということで、アウトドアサウナの導入の検討が進められました。アウトドアサウナの導入によってプールサイドの共有部分の価値が向上すると、それがホテル全体の価値向上につながると思います。
また、ホテル伊豆急では以前に『眺望風呂付き客室』をつくったのですが、こうしたコンテンツに加えてアウトドアサウナを作ることで、夏以外も一年を通してこういう過ごし方ができますよ、というしっかりとした提案ができるようになるので、結果としてそれが新しい客層の獲得につながっていくのではないかと期待しています。

東急エージェンシー 長谷川さま:
これはホテル伊豆急だけでなく下田や伊豆エリア全体に言えることなんですが、今まではお客様の来訪は夏がメインで、夏以外については団体やシニアのお客様が多かったんです。
さきほど山口さんも触れられていたように、ホテル伊豆急では、新しい若い客層やインバウンドのお客様、個人客を増やすことに取り組まれてきました。新しいタイプの客室を作ったり、ホテル全体のリニューアルを進められたりするなかで、今回のアウトドアサウナの導入では、より趣味性の高い”目的旅”のお客様を獲得するということを狙っています。
単にホテルの温泉施設が綺麗になったというだけではなくて、サウナを旅の目的として素敵なサウナ体験ができるところを探している、いわゆる”サ旅”狙いの層に来ていただくことで、結果的にその方たちが「こんなにいいところだったんだね」と感じてホテルや下田エリアのファンになってくれるとか、そういった新しい出会いが生まれるんじゃないかなと思っているんです。これが本プロジェクトの大きな狙いのひとつです。
また、本プロジェクトのコンセプトである”下田と友達になる”という部分に関しての具体的な仕掛けとして、オリジナルのアロマを制作しました。
このアロマは、イメージだけで作った香りではなくて、現地の植生など実際に”白浜の香り”を構成している要素を分解して、そのエッセンスをブレンドして開発した香りなんです。
香りは記憶と直結しているものだと思いますので、このアロマウォーターを実際に『SIMODACCI SAUNA』のロウリュで使ってもらったり、お土産として買って家でお風呂に入れていただいたりすることで、ご自宅に帰った後もこの香りで下田を思い出していただく、そしてまた下田に来ていただく、という効果が生まれることを期待しています。

Q:『SIMODACCI SAUNA』のオープンを発表されて、現時点での反響はいかがですか?
伊豆急コミュニティー 山口さま:
オープンのリリースを出した後、まず地元の方から多くの問い合わせをいただきました。どういった施設なのか、自分たちはそれを利用できるのかといった質問のほか、近隣の小規模宿泊施設、ペンションや民宿のお客様もサウナを利用できるのか、といった問い合わせもいただいています。
現在はまだサウナが1台しかないのでどこまで実現できるかわかりませんが、今後様々なところと連携しながら、ホテル伊豆急のお客様だけでなく下田や白浜に来たお客様にもサウナを楽しんでいただけるようなところまで繋がっていけばいいなと思っています。
また、予約状況に関してですが、まだ大々的なPR活動はしておらず、伊豆急線内や東急線の駅など小規模な範囲にとどまっている段階ではありますが、週末を中心に土曜日の午後等の予約が少しずつ入ってきている状況です。
これからお披露目会や現地取材会を開催したり、実際にサウナをご利用いただいた方がSNSなどで口コミを書いてくださったりすることで、徐々に認知が拡大していくのではないかと期待しています。
5、6月頃はプレオープン期間として色々とトライアルをして、実際にサウナ体験をしていただきながら、少しずつ認知を広げていきたいなと。
その後の夏休みシーズンにはかなり多くのお客様が下田・白浜エリアに来てくださるので、そういった時期に興味を持ってくださった方に秋以降また来ていただいて、本格的に稼働率が上がっていけばありがたいなと考えているところです。

Q:Huber.さんに伺いますが、宿泊・ホテル業界におけるサウナの導入に関して、今後の展望があれば聞かせてください。
Huber. 紀陸さま:
さきほども話がありましたが、多くの大型ホテルやリゾートホテルにおいて繁忙期以外の時期に若年層のお客様になかなか来ていただけない、というのが大きな課題となっています。
我々としては、アウトドアサウナがこうした課題を解決するためのサービスになりえるのではないかという思いをもってホテルへの導入に取り組んできました。そのうえで、導入にあたっては「新しい客層を獲得したい」という強い思いを持っている人たちと協働することが重要だと感じています。
たとえば本プロジェクトで伊豆急コミュニティーさんが掲げられていた『リトリート体験』のように、しっかりとしたコンセプトを掲げている会社やホテルであれば、アウトドアサウナを活かしきることができ、未来のお客様を育てていくことができると考えています。
ホテル側としてはどうしても、来てくださるお客様全員を同時にもてなしたいという気持ちになるのだと思いますが、ホテルの閑散期に来てくださる高齢のお客様や団体旅行のお客様はアウトドアサウナを好む客層とは異なるのが実情です。
ですから、既存顧客に対してのサービス向上と並行する形で、新たに若年層を取り込むためにアウトドアサウナを導入するのだという覚悟と意図をもって取り組むことが必要だと思います。
Huber.としては、今後もサウナの導入事例を一つ一つ積み上げていきたいですし、「こうしたらお客様が来てくれるようになった」とか、「こういうやり方をしたらうまくいかなかった」とか、そういったノウハウをしっかりと伝えながら観光によって地域が元気になる方法を一緒に探っていければ、非常に建設的なチャレンジができるのではないかと本プロジェクトを通して強く感じました。
Q:totonoüとしても、サウナを販売するだけではなく『SIMODACCI SAUNA』を皮切りに下田が盛り上がっていくよう、行政との調整や設置後のアフターケアなどサポートが必要なことがありましたら協力いたします!
では、最後になりますが、締めの言葉をひとことずつお願いします。
伊豆急コミュニティー 山口さま:
今回、本当にいいものができたと自信を持っています。たくさんの方にサウナを体験していただいて、『SIMODACCI SAUNA』の認知がどんどん広がっていくように僕たちも頑張っていきますので、また皆様にもご協力いただけるとありがたいです。
東急エージェンシー 長谷川さま:
本プロジェクトではすでに手ごたえを感じているところがあって、それは、ホテル伊豆急のスタッフの皆さんが実際にできたサウナを見たり体験したりして、気に入ってくださったというのが大きいです。本プロジェクトが進むにつれて「このサウナは夜が特にいいんだよ」と言ってくださるなど、愉しんでくださるようになりました。
最後は人がサウナを作っていくのだと思っているので、今日この対談に参加されている皆さんへのお願いでもあるのですが、サウナの導入先からの相談や実際にサウナを使われた方の工夫などをノウハウとしてフィードバックしていただけると、『SIMODACCI SAUNA』もますます良いものになっていくのではないかと思いますので、引き続きのフォローをお願いしたいです。ホテル伊豆急でもノウハウを蓄積させて、それをフィードバックとして皆さんに共有できるようになれば、サウナ文化全体の発展にも繋がっていくのではないかと考えています。
Huber. 紀陸さま:
本プロジェクトは準備も含めてかなり大変だったと思いますが、あれほどのサウナがあの素晴らしい景色の中にできたのだと思うと、本当にわくわくします。
現場の人たちが作りながら抱えていたわくわく感というのは、サウナを好きな人たちにはきっと伝わるものですし、実際にサウナを体験したお客様にも必ず良さが伝わると思います。そうして影響が広がっていくことが、新しい流れや新しい価値を生み出していくことにつながると思うんです。
Huber.としても、本プロジェクトに関わることができて感謝しています。僕自身もリトリートしに行きたいと思います!大成功を祈っています。
ありがとうございました!
📍 ホテル伊豆急『SIMODACCI SAUNA』公式HP:https://hotel-izukyu.co.jp/sauna/
💡 totonoüではこれからも、製品選定から行政協議のサポート、輸入、輸送、施工、メンテナンスまでをワンストップで提供し、「サウナと共にある暮らし」の今まで以上の実現に向けて邁進してまいります。 お問い合わせはこちらから。 |