サウナの火災予防・対策マニュアル


 

 

サウナを楽しむためには、火災などのリスクをしっかり認識し、予防・対策することが大前提です。

この記事ではサウナに関するリスクの中でも「火災」に焦点を当て、その予防・対策方法を解説します。サウナの導入を検討している方は是非ご一読ください。

 

サウナで火災が発生する主な原因

①サウナストーブの離隔距離不遵守

木材は通常400度程度で発火しますが、高温の熱源に晒し続けられ「炭化」した状態になると、約100度で発火してしまいます。

消防の基準でも、可燃部(木材部)の表面温度が100度を超えないように規定がされていますが、本体温度が数百度にも達するサウナストーブの周辺は、熱源と可燃物の離隔距離を確保することで、火災を予防する必要があります。(なお、室温と可燃部の表面温度は異なるものです)

totonoüではサウナストーブメーカーが規定する離隔距離に準拠した上で、必要に応じた所轄消防署の指導を受け、最終的に離隔距離を決定することをお願いしています。

炭化が発生している木材の様子

 

②不燃材料の未使用

サウナストーブと木材までの離隔距離は、レンガやケイカル板などの不燃材料を設置することによって、その離隔距離を短縮することができます(離隔距離は管轄消防署の規定やメーカー規定によります)。可燃部との離隔距離を遵守できていない状況で、かつ不燃材料が使用していないと、木材が高温のサウナストーブに晒されて、前項で述べた炭化の原因となってしまいます。

totonoüでは離隔距離を参照の上、必要に応じてストーブ背面、必要に応じて側面への不燃材料(ケイカル板等)を設置することをお願いしています。

ケイカル板は12mm厚のものを推奨しており、ホームセンターやAmazon等でもご購入いただけます。(事業用途の場合は、消防の指導によって特定不燃材料を用いていただく必要があります)

 

 ケイカル板(トマト工業株式会社製品ページより引用)

 

タオルやヴィヒタの葉などの可燃物がストーブ上に放置されることによる火災

サウナストーブの温度は数百度に達するため、サウナストーブの上にヴィヒタ(白樺などの枝葉を束ねたもの)やタオルなどの可燃物を放置すると、発火して火事になってしまいます。

北欧ではサウナ室内で乾燥させていたタオルや洗濯物が電気ストーブの上に落ちてきてしまい、そのことが原因で火事が発生することがあります。また最近ではヴィヒタを用いたウィスキングが日本でも人気ですが、ウィスキング時にはストーブ付近に枝葉が飛び散ると、発火するリスクがあります。

万が一可燃物がストーブ上に置かれてしまった場合、防火手袋などを着用して火傷に注意した上で、直ちに取り除いてください。サウナ室内に防火手袋を保管しておくと素早い対応ができるのでオススメです。

 

新聞や雑誌をサウナ室内に持ち込み、放置されることによる火災

前提として、サウナ室内には新聞や雑誌、書籍を持ち込むことは、消防法・火災予防条例によっても禁止されています。新聞や雑誌がサウナ室内で放置されてしまうと、高温になって発火し、火事になってしまうためです。サウナ室内には新聞や雑誌を持ち込まないことを注意喚起した上で、万が一放置されている新聞・雑誌・書籍があったら直ちに取り除いてください。

 

非認証の電気ストーブの使用

出力が10kW以下の電気サウナストーブは電気用品安全法で規定される「特定電気用品」に該当し、「PSEマーク」を取得する必要があります。Amazon等で販売されている一部製品はこれらを取得しておらず、十分に安全性が検証されていない可能性があるので、ご注意ください。

 

⑥煙突内部に堆積した煤やタールによる煙道火災

煙道火災は薪ストーブに関する火災でも最も多い事例の一つです。煙突の内部に煤やタールが溜まってしまうと、それらに着火して煙道火災が発生してしまいます。定期的な煙突の清掃・メンテナンスが安全対策となります。

 

 

サウナ火災予防のための安全対策

上述したように、サウナにおける火災予防においては、サウナストーブ本体、及びサウナストーブとの離隔距離が非常に重要になります。以下の安全対策を遵守した上で、サウナを運用いただければと思います。

 

離隔距離の遵守の徹底

サウナストーブは本体が高温になるため、周辺部との離隔距離が規定されています。 契約締結時にメーカー規定のマニュアルや消防指導による離隔距離を確認するようご依頼しておりますが、設置時やメンテナンス時には、サウナストーブと周辺部分の離隔距離を遵守できているかご確認ください。

各サウナストーブメーカーの離隔距離の規定は、納品時に同梱したマニュアル、もしくは以下のページにも記載がございます。離隔距離はサウナストーブから各方向(側面・背面・前面・天井)への距離を指します。木製の柵も離隔の対象となりますのでご注意ください。

施工手順書、ストーブ仕様書のダウンロード

 

特に薪ストーブの場合は、メーカーによる離隔距離の規定が厳しくなっております。設置後に離隔距離が確保されていないことが判明した場合は、直ちに運用を停止し、早急に是正対応をしてください。

対策としては、離隔距離を確保するために側面部に不燃材料を表面に貼り付ける、柵の場所を変更する、天井部に防熱板を取り付ける、などの追加の措置が必要となります。対応に関してご不安な点がある方は、弊社までご連絡いただければ幸いです。

※なお、弊社が施工を担当する案件におきましては、施工時に離隔距離を確認の上、設置させていただいております。

 

ストーブ周辺の木材が炭化していないかのご確認

運用を開始されている方はストーブ周辺部をご確認いただき、木材部分(不燃材料と接する可燃材含む)が黒ずんでいないかご確認ください。炭化を発見した場合は直ちに使用を停止し、購入元までご連絡ください。

 

温度センサーの位置の確認(電気サウナストーブの場合のみ)

電気サウナストーブは、温度によって出力を変化させることによって室内温度を一定に保っています。一方で温度センサーを規定の位置以外に設置してしまうと、温度が低い状態であることを誤認識してしまい、過度に出力を上げ続けてしまうリスクがあります。

電気ストーブをご使用中の方は、メーカー規定のマニュアルをご確認の上、規定の位置(通常ストーブから距離を取った天井付近)に温度センサーが取り付けてあるかをご確認ください。

(Tylo Sense Sports 6kW/8kWは本体内部に温度センサーがあるモデルとなりますので、別途の取り付けは不要です)

 

温度センサーの取り付けマニュアル / Tylo Sense Sports 2/4(4.5kW)

 

④煙突の定期的なメンテナンス

煙道火災を防ぐために、年に1度は必ずメンテナンスをして、煙突の内部に煤やタールが付着しないようにしてください。しばらくサウナを使わなくなる前や、3ミリ以上のススが堆積した場合にもメンテナンスを行ってください。

また、ストーブの調子が悪いと感じたら、時期に問わずお手入れをしてみてください。また、煙突内部に、煙突内部の点検と掃除を行ってください。

煙突の清掃は地域の薪ストーブ販売店に相談いただくか、totonoüまでご連絡いただければ幸いです。

 

上記に加えて、改めてメーカーのマニュアルに準拠した運用を行って改造等を行わないこと、管轄消防署消防署の指導を受けることも火災予防の観点おいて重要です。

日本サウナ・スパ協会 サウナ設備設置基準
東京消防庁 予防事務審査基準 サウナ設備
 

皆様にサウナを楽しんでいただく大前提として、安全にご利用いただけるための予防・対策が必要です。少しでも不安がある方は、ご遠慮無くお問い合わせください。

Top Top